初めて屋外でピアノを弾いたのは2019年の夏、軽井沢の別荘の庭だった。正直に言うと、最初は不安だった。音が散ってしまうのではないか、と。
音の広がり方が、ホールとは全く違う ¶
ホールでは音が壁に反射して、聴衆に届く。屋外では反射がないので、音は四方に広がる。最初はそれを「音が薄くなる」と感じたが、慣れると「音が解放される」と感じるようになった。特に低音の広がり方が、屋外では独特の豊かさを持つ。
ピアノの搬入と設置 ¶
グランドピアノを屋外に運ぶには、専用のトラックと4〜5人の作業員が必要です。設置場所は、直射日光が当たらない場所を選びます。日光は塗装と弦に悪影響を与えます。夕暮れ時の演奏が多いのは、音楽的な理由だけでなく、楽器保護の観点からでもあります。
天候と音の関係 ¶
湿度が高いと弦が伸び、音程が下がります。夏の屋外演奏では、調律師が演奏直前まで待機しています。雨の場合は中止ではなく、屋内への変更を提案します。風が強い日は、楽譜が飛ばないよう工夫が必要です。これらは全て、事前の打ち合わせで確認します。
屋外でしか生まれない音楽 ¶
2024年の軽井沢での演奏中、蛍が一匹飛んできた。演奏を止めることはできなかったが、その光がピアノの蓋に反射した。あの瞬間は、どんなホールでも再現できない。屋外演奏の魅力は、自然が演奏に参加してくることだと思う。
今年の夏も、庭やテラスでの演奏依頼を受け付けています。場所の条件や日程については、まずはご相談ください。