Symphony Birch Forest
白樺 奏

— 当店について —

白樺 奏

writing since 2017

音楽が空間を満たすのではなく、空間が音楽を抱えている。

2017年の秋、長野県の古い農家を借りて最初のコンサートを開いた。聴衆は11人だった。ベヒシュタインを運び込むのに半日かかり、調律師の方が帰ったあと、夕暮れの光の中でシューベルトのソナタを弾いた。あの夜のことを、私はまだ正確に覚えている。天井の低い部屋で、音がどこへも逃げずに漂っていた。ホールで弾くときとは全く違う感覚だった。音楽が空間に溶けるのではなく、空間が音楽を抱えているような感じ。それが Symphony Birch Forest の始まりだった。

フィンランドに留学していた二年間、私はよく白樺 奏いた。シベリウス・アカデミーの近くに、誰も来ない小さな湖があって、秋になると白樺 奏面に落ちた。音楽の練習をしていない時間に、私は何を聴いているのかを考えていた。風の音でも、鳥の声でもなく、ただ静寂の構造のようなものを。その経験が、今の演奏スタイルに直接つながっている。速く弾くことより、音と音の間を大切にすること。プログラムを詰め込むより、一曲を長く聴いてもらうこと。

現在は東京を拠点にしながら、年に10回前後のプライベートコンサートを行っている。依頼のほとんどは口コミで、ウェブサイトからの問い合わせは年に数件しかない。それでいいと思っている。大きな会場を埋めることより、20人の人が本当に集中して聴いてくれる場所を作ることの方が、私には意味がある。このサイトは、演奏の記録と、音楽について考えたことを書く場所として続けている。

白樺 奏、東京藝術大学でピアノと作曲を学んだのち、フィンランドのシベリウス・アカデミーに二年間留学した。帰国後、NHK交響楽団の室内楽シリーズに客演ピアニストとして参加し、その後2017年に Symphony Birch Forest を立ち上げた。現在は作曲、演奏、そして少人数向けのプライベートコンサートの企画を手がけている。休日には奥多摩の山道を歩くことが習慣で、「歩きながら聴こえてくるものが、いちばん正直な音楽だ」と話す。現在は新しいピアノ組曲の録音に取り組んでいる。

Colophon

This site is written and kept by 白樺 奏, and has been going, quietly, since 2017. It is set in a single serif and meant to be read slowly, one page at a time; the work happens at 東京都世田谷区代沢3-12-7. Notes and corrections are always welcome — contact@symphonybirchforest.com.